リコーダー&チェンバロ曲集 立ち読みコーナー



  CD「ひらがなの手紙5」収録曲   




まえがき

これは、私がリコーダーとチェンバロのために作った二冊目の曲集です。
タイトルは、収録作品の一つ「マリエンヌの打ち明け話による組曲」から取りました。
作曲者の打ち明け話のようなもの…という気持もこめています。
マリエンヌは私の作ったヒロイン、私の分身ですから。

リコーダーは素朴な楽器です。
素朴な楽器には素朴なればこその自由があると、私は考えています。
良い演奏者はその自由を生かして、その人ならではの世界を作り出します。
炊飯器でなく、お釜で炊く御飯が、炊く人の腕前とセンスを限りなく反映するように。

チェンバロも、同じく微妙な操作を要する、自由度の高い楽器です。
リコーダーとチェンバロを組み合わせると、そこに現れるのは、二つの手づくりの音楽の
競演です。作曲者はその台本を書く…芝居の大好きな私にとって、これは最高の楽しです。


そんなこんなで、「マリエンヌの打ち明け話による組曲」は、音で描いたドラマになりました。
旧作の「古典舞曲へのあこがれ」から抜き出した「ガボットとメヌエット」も、リコーダーと
チェンバロでの演奏をイメージしたら、少年と少女のエピソードになりました。
「ようこそ!」と、「マイリトゥルリコ」は、幕間の一人芝居です。

リコーダーとチェンバロは、今や私にとって大切なキャラクター、俳優のような存在です。
この曲集を手にされた皆さんは、それぞれの楽器を通して、私の芝居に出演して下さる…
どうぞ皆さんが、私の「台本」を楽しんで演じて下さいますように!

作曲者の解説に加えて、演奏についてのアドバイスを江崎浩司さんと長久真実子さんに、
リコーダーのアーティキュレーションを江崎浩司さんにお願いしました。


                   2012年6月
                           堀江はるよ



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