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あとがき

小さい頃から手作りが好きでした。三つ折にした画用紙に、チューリップの模様など描いて、
紙紐で縫ってハンドバッグを作ったり、包装用のリボンで髪飾りを作ったりしました。
行き着いた先が、手作り曲集の自主制作です。今回も楽しんで作りました。

曲集を、どのような形にしようかと迷ったときに、浜松市楽器博物館を訪ねました。
広々としたフロアに世界中の楽器が、様々な工夫を凝らして、ぎっしりと並べられています。
ヘッドフォンで音を聴いたり、モニターで演奏風景を見たり、体験できるものは音を鳴らして
みながら、ゆっくりと見てまわりました。「すべての楽器は文化として同じ価値を持つ」という
のが展示の基本コンセプトなのだそうです。

棒切れ一つでも竹の一節でも、心をこめて鳴らすとき、一つの文化となるのでしょう。
この温かな優しいコンセプトは、私を勇気づけてくれました。
私のささやかな出版物も、心をこめて作れば小さな文化になるかもしれません。
気持がふっきれて、その後は全てについて判断が楽になりました。

表紙のイラストは、CD「ひらがなの手紙」でおなじみの新田和繁さんにお願いしました。
楽器のモデルは、パリ音楽院所蔵のルッカース=タスカン・チェンバロです。
原画は今、私の部屋に飾ってあります。絵を見ながら、私はまた新しい曲を書きました。

かたつむり出版を名乗って楽譜とCDの自主制作を始めて、17年になります。
様々な出会いに恵まれて、ここまで歩みを続けることができました。
応援して下さった皆様に心から感謝を申し上げます。

この曲集を通して、どうぞまた新しい出会いがありますように!

                                  堀江はるよ

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