友の会・ティールーム・カタツムリの内緒話

〜 かたつむり出版・パソコン史 〜
 

          P.3  ギター曲集     ちょっとトンで   大晦日


  【ギター曲集】

 “こんどこそ、ちゃんとしたのを作るぞ!”という意気込みで製作した最初の出版物が、
 4冊のギター作品集「こどものとき」「ふたり」「友だち」「ポケットの中から」です。

 作品集・Vの中の「明日へ」と、Wの「小曲集・ポケットの中から」の全15曲の楽譜は、
 ギタリストの松本吉夫さんがパソコンで作譜をして下さいました。これは神経の行き届いた
 とても読みやすい楽譜です。パソコンも道具…道具って使う人次第なんですね。

 “わぁ、これならまたお願いしたい!”と、カタツムリはパソコン楽譜を見直しましたが、
 松本吉夫さんは、楽譜を作り終えるや、パソコンのコンセント抜いてしまわれました。
 “パソコンは見るのもイヤ…”になったそうで、よくよく大変だったんですね。

 感謝を込めて、カタツムリは松本さんに「明るいマニアック」という仇名を進呈しました。
 やわらかな関西弁の、優しくて楽しくて心遣いの細やかなギタリストさんです。


 「ポケットの中から」には巻末に、「楽屋のおしゃべり」という短文集が載っています。
 解説にかえて…とありますが、これは実は、演奏する人へのアドバイスであると同時に、
 おしゃべりに託した「堀江はるよの音楽論」です。

 人中に出て行って、“私はこう思います”なんて言うのは、おこがましいしシンドイ。
 でも、どうも自分は他の人と違うことを考えているんじゃないか…と思うことがあって、
 そういうのは、出来れば人に伝えたい。楽譜の後ろや、CDのジャケットに文章にして
 添えておけば、興味のある人は読んで下さるのではないかと、そんな気持で始めたこと
 ですが、考えてみると、これって「カタツムリの独り言」の出発点かもしれません。

 中から一つ、「タランテラ」の解説を抜き出してお目にかけましょう。
 この曲はCD「ひらがなの手紙・1」に収録されています(No.27)。



     〜タランテラ〜 演奏者のための解説


  踊ってみて下さい

  え、タランテラを見たことがない?

  かまいません ともかく激しく!

  心の中に この曲を鳴らしながら!

  人様にはお見せできないようなカッコウで良いのです

  あなたの「なかみ」が気持良ければ 見た目はどうでも良いのです

  踊っているあなたと 私の曲がしっくりいっていれば

  まずは成功 めでたし めでたし

  踊りにくい曲だなあ、と思うのなら

  なにかが間違っているのです

  タランテラを習いに行く?

  いや そんなことはいいから

  ともかく踊ってごらんなさい

  いい曲だなあ、踊りやすいなあ、と思えるまで

  あなたと 私の曲がすっかり仲良くなってしまうまで!
   



   
  CD「ひらがなの手紙・1」ギターの曲を集めて ギター独奏 松本吉夫

            お求めは、カタツムリまで。






  【ちょっとトンで】

 「ギター曲集」を出版したのが1994年…もう13年も前になりますね。
 あのときのコピー印刷の元になる原版の、文章のページはワープロで作りました。
 私にとってはパソコンは、まだまだ手に負えるシロモノではなかったのです。
 だから慣れたワープロで…と考えたのですが、これはこれで難しかったです。
 特にレイアウトの機能は、今のパソコンと比べたら無いに等しい。題字の位置や、
 リズミカルに見せたい詩のような文章の配置には、ずいぶん苦労しました。


 …で、2007年の今、カタツムリが何で苦労しているかと申しますと、ホームページの
 新しいコーナーの編集、手描きの絵の取り込み、文字と絵を合わせたレイアウトです。
 たった13年の間に、特別な勉強もしない人間が、これだけのことを出来るようになって
 しまうなんて、文明の進歩てスゴイですねぇ!
 でも、文明だけでは補えない部分もありまして、能力の限界も問われます。

 添付ファイルで送られてきた、ページに載せるべき絵の、原画では白のはずの地の色が、
 何故かフジ色になっちゃってるのを、どうしたら白に戻せるか…確かそんなことの出来る
 ソフトが、どっかにあったよネ…と記憶を手繰ってウエブアートデザイナーを見つけ出す
 までに三日もかかっちゃったり、「この位置に置きたい!」と思う文字が、どうやっても
 左に寄っちゃって、直そうとすると消えちゃって、これはもう呪文でも唱えるしか無いの
 かしら状態に陥ったり、パソコンはパソコンで、便利な分だけ御しにくいです…ハァ。


 で、つまり、今回は何をオシャベリしたいかと申しますと、更新の遅れた言い訳デス。
 15日→18日→19日。でもとうとう工事中が一つ残りました。

 果たしてカタツムリは文明の進歩に追いつけるでしょうか?
 新しいコーナー「有賀文洋のポツリポツリ」の行く末や如何?

 フレー・フレー・カタツムリ!…です。




  【大晦日】

 いやぁ…早いもので、もう2007年も終わりですね。
 皆様がこのページをご覧になる頃には年が明けておりましょう。

 奥まったティールームまでお越し頂いてのご愛読、ありがとうございます。
 2008年も、どうぞチョクチョクお遊びにいらして下さい。
 皆様のお幸せを心よりお祈り申し上げます。


 かたつむり出版は職住隣り合わせ。大晦日はカタツムリも多忙です。
 とはいえ、お客さまはほとんど無しの静かなお正月なので、ご馳走は程ほど。
 縁起物も控えめに、お煮しめ、お生酢、ミート系少々と、おサカナ系を少し余分に。
 高価なものはどうも…世界の他の地域の方々のことなど考えちゃうと、デパ地下とかに
 出かけてみても何だかクラクラして…脚だけ疲れて帰って来ちゃいます。
 

 今年は庭の千両が、いつになく真っ直ぐに伸びて、姿良く赤い実をつけました。
 玄関のお花はコレね…と楽しみに、さて昨日採ろうと庭に出ましたら…実がありません!
 そういえば、この間からいろんな鳥が来てました。みんなで食べちゃったんですね。
 この千両、もともと彼らが運んできたもの。忘れずに収穫しに来たんでしょう。

 しかたがないのでカタツムリは、商店街の花屋さんへ。
 お店の千両に、真ン丸な黄菊と白い水仙を合わせて、お正月のお花が出来ました。


 ところで千両の写真をネットで探していたら、思いがけない発見が…。
 先日のカタツムリ通信・12月15日号でご紹介いたしました、「鳥の運んできた
 赤い実の植物」(別件)は、なんと…万両でした!

    超ミニかたつむり出版に

      トリが運んできたのは千両と万両

        こいつぁ春から縁起がいいわぇ〜
なんて。


          
★ こちらのサイトから情報を頂戴しました。 http://www.hana300.com/


 皆様へのご馳走代わりに、小鯛のエッセイをお届けいたします。
 DMに載せたことがありますので、昔からのファンの方は憶えておられるかも。
 1997年、CD「ひらがなの手紙・1」をリリースいたしました折に、
 関西の「北摂おいしい店195」という本のために書いたものです。


「小鯛の群れ」

  目の前に小鯛の煮付けがあった。
生まれ育った東京を離れて、とある寮にお世話になっていた時のことである。
関西に来て初めてお目にかかった小鯛の煮付けは、いかにも風雅な感じがして
嬉しかった。いそいそとお箸を付けたのだけれど……結局この小鯛は、ほとんど
私の口に入らなかった。魚を食べなれない私が下手なつつき方をしている内に、
小鯛はヒレと尾頭付きの骨を残して、煮汁の中に姿を消してしまったのである。

 作曲の話になるが、最上の材料と思えたテーマが、発展させようと思って
つついているうちに崩れ始め、空中分解してしまう様子は、小鯛が尾頭付きの
骨になる様子と実に良く似ている。自分の能力が信じられなかった一時期、私は
生協のパック詰めの小鯛さえ、もの悲しさ無しには見ることが出来なかった。

 “小鯛は何匹でもいる”と気がついたのは十年ほど前である。消えてしまったら
次を釣ってくれば良い。私は諦めない釣り人になって、以来楽しく作曲している。
書き溜めたギター曲がCDになって発売される。カラフルな小鯛の群れは、四月一日
ヤマハ千里店などを泳いでいるはずである。

             (「北摂おいしい店195」1997年度版より)




 昨年、書き溜めた歌曲とピアノ曲は3枚目のCDとなりまして、小鯛の群れは只今、
 銀座一丁目の仮店舗で営業中の、ヤマハ銀座店のあたりを泳いでいるようです。

  新年の営業は一月三日より。
  銀ブラにお出かけの節は、どうぞお立ち寄り下さい。



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